簡単に言いましょう。ビールを高く売るサービスを始めます。正確に言うと、高い価値のあるビールを適正価格で売るサービスを始めます。
私の知る限り我々ブルワリーの人間で、金持ちになった人間は1人もいません。我々の仕事は高い給料を払う価値のない仕事だからでしょうか?それとも我々ブルワーは高い給料に見合わない能力の低い人間だからでしょうか?いやいや、そんなことは関係ないのです。ただ単純に、ビール造りが儲からないからです。
ビールというのはそもそも安い酒です。なのにビールの原材料はほぼすべて輸入(生き物である酵母でさえも!)、酒税は外国の10倍、消費量も年々下降、こんな日本で儲かるわけないのです。ではどうやって儲けを出すか?
手を抜くしかないですよね。手間ヒマ掛けず、安くて不味いビールを造るしかないのです。それってみなさんの望む未来ですか?
では手を抜かず真面目にビールを造り続けることを考えてみましょう。真面目に美味しいビールを造っても儲からず、結果給料が低くなる。だとしても、我々ブルワーはやりがいのある仕事なので満足する。つまり我々はやりがいのために生活を犠牲にする義務があるのでしょうか?
ビール造りには繊細さと勤勉さが必要です。でも「入社したら勉強するつもりです」なんて言ってくる怠け者に対しても「入社したら勉強するのではなく、勉強してから応募してきてください」なんて説教する資格がクラフトビール業界にはないんですよね。だって初任給16万(手取りではなく)なんてとこもあるんですから。ブラックも多いし。金払わないなら人材に文句言う資格なんてないですよ。
結局良い人材が集まらず、美味しいビールはなくなります。ビールが安くて儲からないというのは、未来がないということです。
いろんなことを書いたので、何が言いたいか1行にまとめます。
この状況を好転させるために、会員制のサイトを立ち上げました。会員は上限999人。私の用意した船に同乗してくれる熱意のある999人を集めたいです。サイトの名前は『 999Heads 』としました。スリーナインヘッズと読んでください。ヘッズとは頭数の意味もありますが、熱狂的なファンという意味もあります。ということで999Heads、スリーナインヘッズです。
そこではブルワーが丹精込めた、このプロジェクト用の限定ビールを販売します。これは私の所属する東海道ビールだけではなく、私が一流と思っている様々なブルワリーに参加してもらいます。
どうですか?飲んでみたくなりませんか?私は飲みたいです。会員になってこれを高価格で買ってください。高く買ってもらい、結果喜んでもらうために、いろんなことをできる限りしたいです。
ただ桐箱に入れたり、ラベルに金箔を貼ったりはしません。SDGsやフェアトレードも関係ありません。(これらを否定しているわけではない)
あくまで中身、ビールで勝負です。サイトの設立・運営について労力や諸経費、私が払いますよ。私の造ったビール(東海道ビール)からプロジェクトを始めますが、私が儲けたくてやるわけじゃないと分かってほしいです。
ビールは金儲けの道具ではありませんが、ビールの未来のために金儲けをさせてください。その代わり皆様には抜群のビールをお届けします。
みなさんが大好きな一流のブルワリー、ガンガン口説き落とします。必ず儲かるっていう怪しい口説き文句でね。
「ビアヘッズを喜ばせながらブルワリーが儲かる」がスリーナインヘッズの目的ですから。
なにとぞ、よろしくお願いします。
最後、もうちょっと聞いてください。
実はこのプロジェクト、取得困難な酒類免許が要らないよう、国税局と相談しながら設計しました。つまり誰でも(単なるビールファンでも!)簡単に真似できるんですよ。
パクりたいならパクれちゃうぜ!完全協力するんでパクりたい人は連絡ください! 運営 タノウエ サトシ
経歴: 川崎市内在住
1979年生まれ
「飲みたいビールが無かったので、自分で造った」というのが彼のクラフトビール業界へ足を踏み入れる第一歩。2015年に予備校の講師として物理を担当していたが退職し、ビール造りの道へと進む。
自作で醸造所を制作した「風上麦酒製造」(川崎市幸区)が、業界にセンセーショナルなインパクトを与え、コアなクラフトビールファンを一気に魅了した。だが2017年10月に交通事故に遭い、やむを得ず醸造所を閉めることを決意し、引退を考えていたころに「東海道BEER川崎宿工場」のプロジェクトから誘いを受け醸造技師として参画。
現在個性的ながらクリアな味わいの定番ビールを造りながらも、Jリーグ川崎フロンターレとの共同開発ビールなど、様々な企画で話題を呼んでいる。